発育ステイタス ”少子化撲滅ジャポン”

2012年2月、38歳にして初めての娘(サエラ)が生まれたので、みなさんに突っ込まれたくて書いたサエラパパの日記。

『 そんなアナタは子供にアートを語れない 』 大人も子供もアートを楽しむ3つの方法

f:id:NIVA:20071022140230j:plain

こんにちわ。
最近、サエラが生まれたせいで情操教育についてよく考えるようになったのですが、
ボクなりの子供とアートの楽しみ方について今日はガッツリお話したいと思います。
あくまでボクなりですので、アートの知識や自分の感性に自信のある方は流してください。

 

アートの楽しむ3つの方法

f:id:NIVA:20120514060820j:plain

ボクは以前10年間ほど画商をやっていました。日本画から海外のファインアート、版画、彫刻、書、グラスアートなど様々な美術品を売る仕事です。ボクは美術とは全く無縁の学校を出て、画商という仕事に就きました。でも、そのことはむしろいい方向へ働いて、アートの販売においては「この作家が好き!」とか「このアーティストのこの色使いが好き」という個人的な考え方はむしろ邪魔で、『自分という存在』を消して、のべつ幕無しに知識を蓄えていかなくてはなりませんでした。あくまでその絵が気にったお客様に対して共感し、その作家を知ってもらい気に入ってもらい購入していただくというのが画商にとって不可欠だからです。その分、その辺の美術学生よりもアートの知識や歴史においては詳しいんじゃないか、というくらいアートについて詳しくなります。
ボクはその経験を通じてある発見をしました。学校では教えてくれなかった、アートには楽しみ方が3つあるということです。 

 

大人のアートの楽しみ方

f:id:NIVA:20080504172025j:plain

アートの楽しみ方には独立した3つの要素があります。

1.『観賞する楽しみ』

駅の通路にあるポスターを眺める。ある作家の個展を見に行く。 ルーブル美術館へ絵を見に行く。 

2.『描く楽しみ』

メモに落書きを描く。絵画教室に通う。芸術家になる。

3.『所有する楽しみ』

好きな絵を携帯やデスクトップの壁紙にする。好きな作家の絵のポストカードを買う。画集を買う。実際に絵を購入する。ウォーホールシルクスクリーンサザビーズオークションで落札する。

このように大人の絵の楽しみ方はあらゆる場所で自然に行われています。よく「私は絵心がないから」なんていう人がいますがそんなことはありません。日本では「絵を描く技術に自信がない、作家の名前や歴史がわからない」=「絵心がない」という表現で使うようですが、「自然にアートを楽しんでいる」という意味では「絵心がない」人なんて実際にはいないんですね。

 

子供のアートの楽しみ方

f:id:NIVA:20090328135027j:plain

では、この3つの『アートの楽しみ方』を子供に置き換えてみましょう。

1.『観賞する楽しみ』

多分、人間において最初にアートを楽しむのは、この『観賞する』という楽しみ方だと思います。赤ちゃんの時には自分で描くこともできないし、とりあえず目から飛び込んでくる色や形を認識して、次第に奥行きがわかるようになる。だんだんその背景や物語を想像するようになり、『好み』が生まれてきます。

2.『描く楽しみ』

自分の『好み』が生まれてきたら、それを『描きたい!』という欲求が生まれてきます。子供に紙とクレヨンや色鉛筆を渡すと自然とぐにゃぐにゃの線を描き始めます。それは頭の中で思い描いている『好み』を紙の上に表現しているのだとボクは思います。 
だんだんと技術は向上してある程度何かわかるくらいのものを描いていくことで『描く』楽しみを体得していきます。 

3.『所有する楽しみ』

自分の『好み』が生まれて『描く』楽しみを体得したところで、自分の技術ではどうしようもない時、子供は大人に『描いてみて!』とお願いしてきます。描いてあげると子供はその自分ではどうにも表現できなかったその絵を大切に持って帰ってくれたりおもちゃ箱の中にしまってくれたりします。そう、所有するのです。
 

この通り、もう赤ちゃんの頃から『絵を楽しむ』という行動は始まっているんですね。この3つの独立した『絵の楽しみ方』をしっかりと認識させることが、子供にアートを見せる時に大切だとボクは思います。
なぜかというと『絵の楽しみ方』=『自己表現する3つの方法』だからです。

 

自己表現する3つの方法

f:id:NIVA:20120514062247j:plain

『観賞する楽しみ』は好みを探す旅でもあります。みなさんが美術館や個展に出かけて全ての作品を見て感動したことがあるでしょうか?全ての絵画を思い出すことができるでしょうか?答えはNOだと思います。

逆に感動した作品はすぐに思い出せるはずです。それは『自分の好みが反映されている』からなのです。もし、美術館や個展などに行く機会があったらぜひ次の事を試してみてください。

まず会場をぐるっと一回りしてみる→好きとか嫌いではなく気になる作品のところに戻る→気になる作品を時間をかけて眺めながら、なぜその作品が気になったのか考える。例えば田園風景の絵であれば「あ、そういえばこの風景、小さい頃よく行ってたいたおばあちゃんの家の前の風景みたいだ!」というように不思議と自分の心の中の思い出や記憶、とリンクする部分が出てきます。理由はそんなかっこよくなくてもいいです。ボクは以前、スペインのプラド美術館で見た裸婦を見てなんか気になるなと思っていたら昔付き合っていた女の子のおっぱいと形がソックリでした(笑)
好みが反映されていたんですね。 

 

『描く楽しみ』はダイレクトに自分の好みを反映させるものです。絵を描くことで自然に自分の感情や想いが表現されてきます。何が好きで、嫌いで、楽しいか、悲しいか、全てが紙や彫刻の中にダイレクトに姿を現してきます。ウソだと思ったら今そこにあるメモになにか描いてみてください。もしめちゃくちゃ上手く描けて、さらに自分で猛烈に伝えたいメッセージがある人なら芸術家を目指しましょう。今からでも遅くありません。ボクの大好きな画家・千住博 氏「どんなに歳をとっても画家になるのに早い遅いはない。それまでの人生は構想期間だったのですから。」と言っています。さっそく今日からスタートです。
もし描くのに自信のない方は次にいきましょう。

 

最後に『所有する楽しみ』は、手っ取り早く自分の感性が表現されたものを手に入れてしまうということです。あなたの部屋を見回してください。そこには自分の好きな家具や置物、本やポスターや写真、フィギュアなどが飾ってあるはずです。服なんかもそうでしょう。自分が嫌いだと思うものは置いていないはずです。
アートを飾る(所有する)というのは自己表現の手段のひとつなんですね。 あなたが自己表現出来ているな、と思うものはすべてアートであると言えます。

これはもちろん音楽においてもそうじゃないかと思います。

このようにアートは美術館の中にあるすごい名画などではなくて、身近に潜んでいる 『自分の感性の自己表現』であることがおわかりいただけるでしょう。

 

『子供に自己表現を教えてあげること』=『アートを子供に語ること』

f:id:NIVA:20120514062505j:plain

昨今、『子供がキレやすくなった』ということをよく聞きますが、自己の感情や好き嫌いを表現できないからキレるのではないでしょうか?美術の時間が減らされているということなんかもよく聞きますが、とんでもないことだとボクは思います。
人の好みや感性は、育った環境や家族や友人、聴いた音や見たもの、など 様々な影響によってかたち創られていきます。大人が子供にしてあげられることは、ただ無作為に美術館に行くということではなくて、大人自身が何が好きで何が嫌いかということをはっきり自覚してそれを子供に伝えてあげることなのではないでしょうか?そのことが実は『子供に自己表現を教えてあげること』=『アートを子供に語ること』につながるのだとボクは思います。
あなたの好きなアートはあなたのアイデンティティなのです。
 

 ソリッド・スネークの言葉(※メタルギアソリッド2より)

f:id:NIVA:20111215233822j:plain

「人の人生は子供たちに遺伝情報を伝えるだけじゃない。人は遺伝子では伝達できないものを伝えることができる。言葉や文字や音楽や映像を通して、見たもの、聞いたもの 感じたこと…怒り、哀しみ、喜び… 俺はそれを伝える。伝えるために生きる。俺達は伝えなければならない。俺達の愚かで 切ない歴史をそれらを伝えるためにデジタルという魔法がある。人間が滅びようと 次の種がこの地球に生まれようと この星が滅びようと…生命の残り香を後世に伝える必要がある。未来を創ることと過去を語り伝えることは同じなんだ。」ソリッド・スネークも言うております 。

では、みなさん、『3つのアートの楽しみ方』をしっかり意識して子供たちとアートを楽しんでみてください。

 本日の一曲はコレで。

# 月に負け犬 Dynamite 東京事変.flv 

このブログを支援する 

にほんブログ村 子育てブログへ
にほんブログ村